地盤のデータ解析は、設計・施工における品質を確保するツールのようなものであり、ツール(道具)、つまりコンピューターでいうプログラムですから、その内容を理解していない人でも答えをだすことができるということです。判断プロセスがブラックボックスで、回答の理由や根拠を説明できないものには、「その解析結果を本当に信頼してもよいのか」という疑念を払拭できないという問題があります。
だからこそ私は、地盤解析では単に計算した答えや分析した結果だけを示しているようではいけないと思っています。土木建築事業における地質・地盤の解析は極めて重要な役割を担っています。地質・地盤の不確実性が、事故やコスト増、事業の遅延といった安全性や効率性に関するリスク要因となりうるからです。土木・建築に携わる企業は、正しい分析データを正しくジャッジして、地質・地盤の不確実性を極力、低減することに努めなければなりませんし、その分析データを提供する私たちもデータが示す本質をきちんと理解し、考察を重ね、仮説をきちんと肯定または否定できる根拠を示したしたうえでアウトプットするべきです。それが私の地盤解析に対する譲れない姿勢であり、フィロソフィーでもあります。データの本質を理解せず、数字だけを追っているような企業は、顧客ニーズの多様化やサービスのコモディティ化やIT化が進むにつれ、淘汰されてしまうでしょう。
現在、私は自身の哲学にそった研究に勤しみ、もと名古屋大学工学研究科准教授の檜尾正也氏とチームを組み、日々勉強させていただきながら、常に新たな研究に努めています。相互の考察を組み合わせ、一人ひとりの能力の総和以上の成果を出せることが、当社の強みへとつながっていると自負しています。将来的にはこの知の力を結集し、地質調査データを関連性に基づいて収集整理するシステムを構築するとともに、調査から分析、アウトプットまで一貫して自社で行うことで、スピードアップ&コストカットをはかっていきたいと思います。多くの皆さまの地盤解析における信頼のパートナーとして、より良い未来に向けて協力する機会が得られることを願っています。
大学時代、アメリカンフットボールのワイドレシーバーとして活躍していたことから強豪実業団チームのある大手ゼネコンのグループ企業に入社。アメフトへの情熱で入った会社だが、配属先の本社土木設計本部で仕事のノウハウを叩き込まれるうちに地盤改良の面白さに目覚め、同業務を12年担当。その後、グループ会社に戻って手腕を振るう。地盤データのアウトプットを、大手ゼネコンの会社名に頼らずに追求していきたいと考え、2020年4月にIMAGEi Consultantへ転職。いずれはアメフトネットワークを活かし、育成世代のサポートにも尽力したいと考えている